濱野 明 農学博士
一般社団法人ACMSコンソーシアム代表理事
(国研)水産研究・教育機構 水産大学校名誉教授
日本は世界有数のマグロ消費国であり、現在日本の食卓に上るクロマグロの半分近くが養殖生簀から生産されています。従って、養殖現場における種苗から出荷までの適切な養殖管理が極めて重要となります。しかしながら、生簀養殖における現場では、クロマグロの表皮が弱いという生物学的な特性もあって、一度生簀に活け込むと、出荷までその魚体に触れることができないことから、確かな尾数を把握できる計測法が未だ確立されていません。このため、出荷時において最終的な尾数と帳簿と合わない等、経営的側面からも尾数(資産)管理が不十分であるという問題を抱えています。
このような現状を踏まえ、私たちは生簀クロマグロの尾数をリアルタイムで数える新しい計測システムを開発しました。今回私たちが開発した「マルチ送受波ソナーとピンガーを用いた生簀養殖クログロの計数システム」は、国内外の学会発表を経て、高い評価を受けているところですが、本計測システムの積極的な利用を強く推し進めるためには、その公益性や有用性をより一層、国内外に情報発信する必要があります。
このような活動を通して、更なる計測技術の高度化がなされ、災害時における補償を担保する公益性を持った情報を提供することも可能となります。 これら計測技術がもたらす情報は、養殖業者が安心して漁業経営が行える環境を整備するとともに、生産性の向上、ひいては資源の保護にも繋がります。
そこで、2017年4月、生簀養殖クロマグロの計測システムの普及・発展のためのプラットフォームとして「ACMS(Aqua-Culture Management System)コンソーシアムが設立されました。その主旨は①広報活動、②公益性に係る研究活動、③国際化へ取り組み、④利用の推進、⑤計測機器性能の向上、⑥次世代への提言等の活動を通してクロマグロ養殖、さらに養殖業全般の経営の安定化及び持続的発展に寄与することを目的としています。
この度、これらの活動をより加速させるために、2022年年4月1日から一般社団法人ACCMSコンソーシアムとして活動することといたしました。
ここに、関係する団体、企業、個人の皆様の一般社団法人ACMSコンソーシアムへ引き続きのご支援をお願いするものです。